2025年10月中旬、X（旧Twitter）に画期的な新機能が導入されました。リンク付き投稿をタップした際、外部サイトを閲覧しながら元の投稿に「いいね」や「リプライ」ができるアプリ内ブラウザ（In-App Browser）の強化機能です。この機能は、ユーザー体験の向上だけでなく、クリエイターにとってもエンゲージメント率向上という大きなメリットをもたらします。

本記事では、この新機能の詳細、使い方、そしてクリエイターがどのように活用すべきかを、日本人ユーザーに馴染みやすい例を交えながら徹底解説します。

新機能の仕組み：リンクを開いても投稿が消えない！

従来のXでは、リンク付き投稿をタップすると外部サイトが全画面表示され、元の投稿が完全に隠れてしまうという問題がありました。記事を読み終わった後、「いいね」を押そうと思っても、戻るボタンを何度も押してタイムラインに戻る必要があり、面倒に感じた経験がある方も多いでしょう。

新機能では、リンクをタップすると外部サイトがアプリ内ブラウザで開き、元の投稿が画面下部にコンパクトなバー（またはカード状のUI）として折りたたまれて表示され続けます。このバーには以下の要素が含まれています

• 投稿のキャプション（テキスト）の一部
• いいね（Like）ボタン
• リプライ（Reply）ボタン
• リポスト（Repost）ボタン

例えば、日本のニュースサイトの記事リンクが含まれた投稿をタップした場合、記事を読みながら画面下部のバーから「いいね」や「リプライ」がワンタップで可能になります。記事の途中で「この情報は役立つ！」と思ったら、即座にリアクションできるのです。

具体的な使用例

日本人ユーザーにとって身近なシーンで考えてみましょう

シーン1：朝のニュースチェック
通勤中にXで「日経新聞の最新経済ニュース」へのリンク付き投稿を発見。リンクをタップして記事を読みながら、内容が有益だと感じた瞬間に画面下部の「いいね」ボタンを押す。わざわざ戻る必要なし。

シーン2：レシピ記事の閲覧
料理研究家が投稿した「時短レシピ」のリンクをタップ。レシピサイトで材料を確認しながら、「これは試したい！」と思ったら、その場でリポストして友人にシェア。

クリエイターにとっての大きなメリット

この機能は、単なるユーザー体験の改善にとどまりません。コンテンツクリエイターやマーケターにとって、エンゲージメント率向上という重大なメリットがあります。

従来の問題点

これまで、リンク付き投稿は以下の理由でエンゲージメントが低下しやすいと言われていました

• 外部サイトに遷移すると、ユーザーが投稿に戻ってこない
• 「いいね」やリプライが減少し、Xのアルゴリズムが投稿を低品質と判断
• 結果的にリーチ（表示回数）が減少し、拡散力が弱まる

実際、多くのクリエイターが「リンクを貼るとエンゲージメントが減る」と感じ、リンクを避ける傾向がありました。

新機能による改善

新機能では、ユーザーが外部サイトを閲覧中でも投稿が常に画面に表示されるため、以下のような好循環が生まれます

1. エンゲージメント率の自然な向上：記事を読みながら「いいね」を押しやすくなり、エンゲージメント数が増加
2. アルゴリズムの評価向上：エンゲージメントが増えることで、Xのアルゴリズムが投稿を「高品質」と判断
3. リーチの拡大：より多くのユーザーのタイムラインに投稿が表示され、拡散力が向上

例えば、日本のブロガーやアフィリエイターにとって、これは朗報です。これまで「Xに記事リンクを貼っても反応が薄い」と感じていた方も、この機能により自然とエンゲージメントが増え、ブログへのアクセス増加とともに投稿自体の拡散も期待できるようになります。

プラットフォームごとの実装状況（2025年10月30日時点）

この新機能は、プラットフォームごとに段階的にロールアウトされています。現在の実装状況は以下の通りです：

iOS版：実装済み

iPhoneユーザーは、すでにこの機能を利用できます。実装開始は2025年10月19日頃で、すべてのユーザー向けにロールアウト済みです。App Storeで最新版のXアプリにアップデートすれば、すぐに使い始められます。

実際のデモ動画では、リンクをタップした際の遷移が非常にスムーズで、「snappy（機敏）」と評価されています。

Web版（ブラウザ版）：実装済み

パソコンやスマートフォンのブラウザからXを利用している方も、この機能を使えます。実装開始は2025年10月15日頃で、2025年10月30日時点でロールアウト完了しています。

ChromeやSafariなどのブラウザで x.com にアクセスすれば、iOS版と同様の体験が得られます。

Android版：近日実装予定

Androidユーザーは、2025年10月下旬時点ではまだこの機能を利用できません。しかし、近日中に実装予定とアナウンスされています。

X-Liteなどのテスト版アプリでは関連機能の強化が進められており、将来的に正式版アプリに統合される見込みです。Androidユーザーの方は、Play Storeでアプリの更新通知を待ちましょう。

クリエイターが知っておくべき活用のコツ

この新機能を最大限に活用するため、クリエイターは以下の点に注意すると良いでしょう

①投稿のキャプションは独立して魅力的に

画面下部のバーには投稿テキストの一部しか表示されません。そのため、リンクだけに頼らず、キャプション自体に価値を持たせることが重要です。

例：
❌「この記事おすすめです（リンクのみ）」
⭕「朝5分でできる！栄養士が教える時短朝食レシピ3選。忙しい朝でも健康的な食事を（リンク）」

後者のように、キャプション自体が興味を引く内容であれば、ユーザーはリンクを開く前から反応しやすくなります。

②リンクの配置を工夫

キャプションの最後にリンクを配置し、その前にしっかりと内容を説明する構成がおすすめです。ユーザーが「このリンク先を見たい」と思う動機づけをキャプションで行いましょう。

③エンゲージメントを促す一言を追加

「参考になったらいいね＆リポストお願いします！」のような一言を添えることで、ユーザーの行動を促すことができます。新機能により、この種の呼びかけがより効果的になります。

注意点と制限事項

一部のユーザーからは、以下のような指摘も出ています

①リンク保存の際の不便さ

一部のユーザーは、「後で読む」ためにリンクを保存・整理する際に、この新UIが不便だと感じているようです。従来のようにリンクを長押ししてブックマークする動作が変わるため、慣れが必要かもしれません。

②欧州での一時的な無効化

欧州の一部地域では、この機能が一時的に無効化されているケースが報告されています。これは、EUのデジタル規制（DMA：デジタル市場法など）への対応が理由と考えられます。欧州在住の方は、今後の正式実装を待つ必要があるかもしれません。

Xの「すべてアプリ」戦略との関連

この機能強化は、イーロン・マスク氏が掲げる「Xをすべてを包含するアプリ（Everything App）にする」という戦略の一環です。

外部リンクの扱いを最適化し、ユーザーがアプリ内に長く滞在できる環境を整えることで、以下の目標を目指しています

• プラットフォーム内での滞在時間の延長
• エンゲージメント率の向上
• 広告収益やサブスクリプション（X Premium）の増加
• 将来的な決済機能などの統合に向けた基盤構築

日本で例えるなら、LINEが単なるメッセージアプリから、LINE Pay、LINEニュース、LINEショッピングなどを統合した「生活プラットフォーム」へと進化したように、Xも同様の方向性を目指していると言えるでしょう。

まとめ：クリエイターにとって追い風となる機能強化

X（旧Twitter）の新しいリンク表示機能は、ユーザー体験の向上とともに、コンテンツクリエイターにとってエンゲージメント率向上という大きなメリットをもたらします。

主なポイント

• リンクを開いても元の投稿が画面下部に表示され続ける
• 記事を読みながら「いいね」「リプライ」「リポスト」が可能
• iOS版とWeb版はすでに実装済み、Android版も近日対応
• クリエイターは、魅力的なキャプションと組み合わせることで効果を最大化できる
• Xの「すべてアプリ」戦略の一環として、今後もさらなる機能強化が期待される

この機能をまだ試していない方は、ぜひ最新版のXアプリに更新して体験してみてください。特にブログ運営者、マーケター、ニュースサイト運営者など、外部リンクを頻繁に投稿する方にとって、エンゲージメント向上の大きなチャンスとなるでしょう。

機能に関するフィードバックは、公式アカウント（@X）へ送ることができます。より良いプラットフォームを作るため、ユーザーの声が今後の開発に反映される可能性があります。

2025年後半も、Xはさらなる機能強化を続けていくことが予想されます。最新情報をキャッチしながら、効果的にプラットフォームを活用していきましょう。