【2025年最新】トレスとは?絵師が知るべき違法性・著作権問題と正しい活用法を徹底解説
2025.10.21
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トレスとは何か?基本的な定義と種類
トレス(トレース)とは、既存の画像や写真の上に紙やデジタルキャンバスを重ねて、線や形をなぞって描く技法のことです。英語の「trace(追跡する、なぞる)」が語源となっており、イラスト制作や漫画制作において広く使われている手法の一つです。
トレスには大きく分けて几つかの種類があります。まず「完全トレス」は、元の画像の線をそのまま正確になぞる方法です。次に「部分トレス」は、元画像の一部分のみをトレースし、他の部分は自分で描き加える方法です。また「参考トレス」は、元画像を参考にしながら、構図やポーズを真似て描く方法で、完全になぞるわけではありません。
デジタルイラストの普及により、現在では物理的にトレーシングペーパーを重ねる従来の方法に加えて、デジタルソフトウェア上で画像を下敷きにして描く「デジタルトレス」も一般的になっています。この技術の進歩により、トレス作業は以前よりも簡単に行えるようになった一方で、著作権や倫理面での問題も複雑化しています。
トレスが問題視される理由
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トレス自体は古くから存在する絵画技法の一つですが、近年問題視されるようになった背景にはいくつかの要因があります。最も大きな理由は、他人の著作物を無断で使用することによる著作権侵害の可能性です。特に、商業作品や他のイラストレーターの作品をトレースして、自分の作品として発表することは、創作者の権利を侵害する行為とみなされます。
また、SNSの普及により、トレス作品が簡単に拡散されるようになったことも問題を深刻化させています。以前であれば限られた範囲でしか目にすることのなかった作品が、現在では瞬時に多くの人の目に触れるため、トレス行為が発覚しやすくなっています。さらに、画像検索技術の向上により、トレス元の画像を特定することも容易になっています。
絵師コミュニティにおいては、トレスに対する倫理観も厳しくなっています。独創性や創造性を重視する文化の中で、他人の作品をそのまま模倣する行為は「手抜き」や「盗用」として批判される傾向があります。特に、トレスを行ったにも関わらず、それを隠して自分の完全なオリジナル作品として発表する行為は、コミュニティから強い非難を受けることが多いです。
著作権法から見たトレスの違法性
トレスの違法性を判断する上で最も重要なのが著作権法です。日本の著作権法では、他人の著作物を無断で複製、翻案することは原則として禁止されています。トレスは元画像を「複製」または「翻案」する行為に該当する可能性が高いため、著作権者の許可なく行うことは違法となる場合があります。
ただし、すべてのトレスが違法というわけではありません。著作権法には「私的使用のための複製」という例外規定があり、個人が私的に楽しむ範囲でのトレスは認められています。問題となるのは、トレス作品を公開したり、商用利用したりする場合です。特に、SNSへの投稿は「公衆送信」に該当するため、私的使用の範囲を超えていると判断される可能性があります。
著作権侵害の判断基準として重要なのが「類似性」と「依拠性」です。類似性とは、トレス作品と元作品がどの程度似ているかという点で、完全トレスの場合は明らかに類似性が認められます。依拠性とは、元作品を参考にして制作したかどうかという点で、トレスの場合は依拠性も明確です。これらの要件を満たす場合、著作権侵害が成立する可能性が高くなります。
写真のトレスと肖像権・パブリシティ権の問題
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写真をトレースする場合、著作権に加えて肖像権やパブリシティ権の問題も発生する可能性があります。肖像権とは、自分の容姿を無断で撮影・公表されない権利のことで、写真に写っている人物の同意なくトレスして公開することは、この権利を侵害する可能性があります。
特に著名人の写真をトレースする場合は、パブリシティ権の侵害も問題となります。パブリシティ権とは、著名人が自分の氏名・肖像を商業的に利用する権利のことで、無断でトレスしたイラストを商用利用することは、この権利を侵害する行為となる可能性があります。
風景写真や建物の写真をトレースする場合でも注意が必要です。写真自体に著作権があるため、写真家の許可なくトレースすることは著作権侵害となる可能性があります。ただし、誰が撮影したか不明な古い写真や、著作権が切れた写真については、この限りではありません。
商用利用と非商用利用の違い
トレスの違法性を判断する上で、商用利用か非商用利用かという点は非常に重要です。商用利用とは、トレス作品を販売したり、広告に使用したり、何らかの経済的利益を得る目的で使用することを指します。一方、非商用利用とは、純粋に個人の趣味や学習目的での使用を指します。
商用利用の場合、著作権侵害のリスクは格段に高くなります。経済的な利益が絡むため、権利者からの法的措置を受ける可能性も高く、損害賠償請求の対象となることもあります。特に、企業が商品やサービスの宣伝にトレス作品を使用する場合は、十分な注意が必要です。
非商用利用であっても、SNSへの投稿は公衆送信に該当するため、完全に安全とは言えません。ただし、明らかに個人の趣味の範囲で、トレスであることを明記している場合は、権利者から寛容に扱われることもあります。しかし、これは権利者の判断に委ねられる部分であり、法的に保証されているわけではありません。
フェアユース(公正使用)と引用の概念
アメリカの著作権法には「フェアユース」という概念があり、教育目的や批評目的での使用については、著作権侵害にあたらない場合があります。しかし、日本の著作権法にはフェアユースの一般規定は存在せず、「引用」などの個別の例外規定のみが設けられています。
日本の著作権法における「引用」の要件は非常に厳格です。引用が認められるためには、自分の著作物が「主」で、引用部分が「従」という関係が必要で、引用の必要性、引用部分の明確な区別、出典の明示などが求められます。単純なトレス作品では、これらの要件を満たすことは困難です。
教育目的での使用についても、学校教育における複製など、非常に限定的な場面でのみ認められています。個人の学習目的でのトレスは私的使用の範囲内で認められる可能性がありますが、それを公開することは別の問題となります。
AI生成画像とトレスの新たな問題
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近年、AI技術の発達により、AI生成画像をトレースする新たな問題も生じています。AI生成画像自体の著作権の帰属が不明確な場合が多く、これをトレースすることの法的な位置づけも曖昧です。
また、AIが学習データとして使用した画像の著作権者から、間接的な権利侵害だと主張されるケースも増えています。AI生成画像をトレースする場合は、その画像がどのような学習データから生成されたかを把握することが困難なため、リスク管理が複雑になっています。
さらに、AI技術を使用して自動的にトレスを行うツールも登場しており、これらのツールの使用についても法的・倫理的な議論が続いています。技術の進歩に法整備が追いついていない状況であり、今後の動向に注意が必要です。
安全なトレスの活用方法
トレスを安全に活用するためには、いくつかの重要なポイントがあります。まず最も確実な方法は、著作権フリーの素材や、明確に利用許可が与えられている素材のみを使用することです。多くのストックフォトサイトでは、一定の条件下での利用を認めるライセンスを提供しています。
自分で撮影した写真をトレースすることも安全な方法の一つです。自分が著作権を持つ素材であれば、自由にトレスすることができます。ただし、写真に他人が写っている場合は肖像権の問題が残るため、注意が必要です。
学習目的でのトレスを行う場合は、それを明確に示し、完成後は公開しないことが重要です。どうしても公開したい場合は、トレス元を明記し、著作権者に事前に許可を求めることをお勧めします。また、トレス作品を元に大幅に改変を加え、独自の創作性を付加することで、翻案権の問題を回避できる場合もありますが、これも確実ではありません。
トレス発覚時の対処法と予防策
万が一、自分のトレス作品が問題となった場合の対処法を知っておくことも重要です。まず、権利者からの指摘を受けた場合は、速やかに作品を削除し、謝罪することが基本的な対応です。無視したり、反論したりすることは事態を悪化させる可能性があります。
予防策としては、制作過程を記録しておくことが有効です。完全にオリジナルで制作した作品であっても、偶然の一致によりトレス疑惑をかけられることがあります。制作過程のスクリーンショットや動画を保存しておくことで、そのような疑いを晴らすことができます。
また、類似作品の事前調査も重要です。制作前に似たような作品が存在しないかを確認することで、意図しない類似による問題を避けることができます。特に、特徴的なポーズや構図を使用する場合は、慎重な確認が必要です。
絵師コミュニティにおけるトレスの捉え方
絵師コミュニティにおいては、トレスに対する見方が多様化しています。一部では「練習のためのトレスは必要悪」として受け入れられている一方で、「創造性を損なう行為」として完全に否定する声もあります。重要なのは、コミュニティのルールや文化を理解し、それに従って行動することです。
多くのコミュニティでは、トレスを行った場合はそれを明記することが求められています。隠してオリジナルとして発表することは、コミュニティの信頼を損なう行為として厳しく批判されます。透明性を保ち、正直な態度で臨むことが、コミュニティとの良好な関係を維持する鍵となります。
また、他の作家の作品をリスペクトする姿勢も重要です。トレス元の作品や作者に対する敬意を示し、可能であれば作者に感謝の意を伝えることで、建設的な関係を築くことができます。
まとめ:責任ある創作活動のために
トレスは決して悪い技法ではありませんが、使い方を間違えると法的・倫理的な問題を引き起こす可能性があります。最も重要なのは、著作権という他人の権利を尊重し、責任ある創作活動を心がけることです。
技術的にトレスが簡単にできるようになった現在だからこそ、創作者一人一人が高い倫理観を持って制作に取り組む必要があります。疑問がある場合は専門家に相談し、常に最新の法的動向にも注意を払うことが大切です。
最終的に、トレスを含むすべての創作活動において重要なのは、他者への敬意と自分自身の誠実さです。これらを大切にしながら、創造的で豊かな表現活動を続けていくことが、健全な創作環境の維持につながるでしょう。
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