X（旧Twitter）を買収したイーロン・マスク氏が、SNSの枠を超えた「スーパーアプリ」構想を掲げ、Web3（ウェブスリー）分野への取り組みを加速させています。

2025年後半には、決済大手Visaと提携した「X Money」のローンチが予定されており、SNS上で送金・決済・投資までできる時代がすぐそこまで来ています。

この記事では、XがどんなWeb3機能を導入しているのか、そして今後どうなっていくのかを、暗号資産やブロックチェーンに詳しくない初心者の方にもわかりやすく解説します！

そもそもWeb3（ウェブスリー）って何？

Web3について解説する前に、まずは「Web1.0」「Web2.0」からおさらいしましょう。

インターネットの進化の歴史

• Web1.0（1990年代～2000年代前半）：情報を「見るだけ」のインターネット。ホームページを閲覧するのが中心でした。
• Web2.0（2000年代後半～現在）：情報を「発信できる」インターネット。TwitterやFacebook、YouTubeなどのSNSが登場し、誰でも情報を発信できるようになりました。
• Web3（これから）：「個人がデータを所有できる」インターネット。ブロックチェーン技術を使い、GAFAMなどの巨大企業に依存せず、ユーザー自身がデータや資産を管理できる世界を目指しています。

Web3の3つの特徴

1. 分散型：特定の企業がサーバーを管理するのではなく、世界中のコンピューターで分散管理
2. 所有権の明確化：デジタルアイテム（NFTなど）を「自分のもの」として証明できる
3. 仲介者不要：銀行や決済サービスを介さず、個人間で直接取引できる

この「Web3の世界」に、XがSNSとして初めて本格参入しようとしているのです。

Xが取り組むWeb3機能①：X Money（決済サービス）

Xが最も力を入れているのが、「X Money（エックス・マネー）」という決済サービスです。

X Moneyとは？

X Moneyは、2025年1月にイーロン・マスク氏率いるXが、決済大手Visa（ビザ）と提携して開発を発表した新しい金融サービスです。2025年後半のローンチを予定しています。

X Moneyでできること

• デジタルウォレット機能：X上で現金を保管・管理できる
• P2P送金（個人間送金）：VenmoやPayPayのように、友達にお金を送れる
• 銀行口座との連携：銀行からX Moneyに即座に入金可能
• デビットカード連携：Visa Directを使った即時決済
• 将来的には暗号資産対応：ビットコインやドージコインでの決済も視野に

X Moneyのすごいところ

従来の銀行送金は、営業時間外だと翌日以降になりますが、X Moneyなら24時間365日、即座に送金できます。しかも、SNS上で「この人に100円送りたい」と思ったら、アプリを切り替えずにその場で完結します。

さらに、将来的には暗号資産（ビットコインやドージコインなど）にも対応するとみられており、これが実現すれば、XはSNSとフィンテックとWeb3が融合した「スーパーアプリ」になります。

Xが取り組むWeb3機能②：ビットコイン投げ銭機能

実は、Xではすでにビットコインの投げ銭機能が導入されています。

ビットコイン投げ銭の仕組み

2021年9月、当時のTwitter（現X）は、Lightning Network（ライトニングネットワーク）というビットコインの高速送金技術を使った投げ銭機能を追加しました。

Lightning Networkとは？
ビットコインは通常、送金に数分～数十分かかり、手数料も高額になることがあります。しかし、Lightning Networkを使えば、数秒で、しかもほぼ手数料ゼロでビットコインを送金できます。

使い方は簡単

1. プロフィールに「投げ銭用ビットコインアドレス」を設定
2. フォロワーや読者が「この投稿が役に立った！」と思ったら、ビットコインを送信
3. 受け取った人は即座にビットコインを受け取り、現金に換金したり、そのまま保有したりできる

クリエイターにとってのメリット

従来のスーパーチャット（YouTube）やサブスク（Patreon）は、プラットフォーム側が手数料を20～30%取りますが、ビットコイン投げ銭なら手数料がほぼゼロ。クリエイターは収益のほぼ全額を受け取れます。

Xが取り組むWeb3機能③：NFTプロフィール画像

Xでは、NFT（Non-Fungible Token：非代替性トークン）をプロフィール画像に設定できる機能があります。

NFTって何？

NFTは、「このデジタルアイテムは世界に1つだけ」と証明できる技術です。たとえば、デジタルアート、音楽、ゲームアイテムなどをNFT化することで、「誰が本当の所有者か」をブロックチェーン上で証明できます。

XでのNFTプロフィール画像の特徴

• 六角形のアイコン：通常の丸いアイコンではなく、NFTプロフィール画像は六角形で表示されます
• ウォレット連携：MetaMaskなどの暗号資産ウォレットをXに接続し、所有しているNFTを選択するだけ
• 所有証明：「このNFTは本物で、私が所有者です」とアピールできる

NFTプロフィール画像の意味

NFTアートのコレクターやWeb3コミュニティの一員であることを示すステータスシンボルとして使われています。高額なNFTを持っている人は、それをプロフィール画像にすることで、コミュニティ内での信頼や地位を示すことができます。

Xが取り組むWeb3機能④:暗号資産の価格表示

Xでは、投稿内で$Cashtag（キャッシュタグ）を使うと、リアルタイムの暗号資産価格が表示されます。

使い方

たとえば、投稿に「$BTC」と書くと、ビットコインのリアルタイム価格とチャートが自動表示されます。これにより、X上で暗号資産の最新情報を簡単にチェックできます。

対応している暗号資産

• $BTC（ビットコイン）
• $ETH（イーサリアム）
• $DOGE（ドージコイン）
• $XRP（リップル）
• その他主要な暗号資産

この機能により、Xは「暗号資産情報のハブ」としての役割も果たしています。

今後の展望：ドージコインやXRPの決済対応は？

イーロン・マスク氏は、X Moneyに暗号資産決済を統合する可能性を示唆しています。特に注目されているのが、ドージコイン（DOGE）とXRP（リップル）です。

ドージコイン（DOGE）への期待

イーロン・マスク氏は、かねてからドージコインの熱烈な支持者として知られています。彼がドージコインについてツイートするたびに、価格が急騰することから「ドージコインの父」とも呼れています。

可能性：
X Moneyにドージコインが決済手段として統合されれば、数億人のXユーザーがドージコインで送金・決済できるようになります。これは暗号資産業界にとって歴史的な出来事になるでしょう。

XRP（リップル）への期待

XRPは、国際送金に特化した暗号資産で、送金スピードが速く、手数料が安いのが特徴です。2024年10月、イーロン・マスク氏が初めてXRPについて公の場で言及したことで、XRPコミュニティが沸きました。

可能性：
XRPの環境に優しいトレーディングモデルと低コストが、X Moneyのグローバル送金機能にマッチする可能性があります。国境を越えた送金が数秒で完了するようになれば、Xは国際的な決済インフラとしても機能します。

いつ暗号資産決済は実現する？

X Moneyは2025年後半にローンチ予定ですが、最初は米ドルなどの法定通貨のみで開始される見込みです。暗号資産対応は、その後段階的に追加される可能性が高いとされています。

ドージコインの著名開発者は、「ドージコイン決済の統合は2025年以降になるのでは」と予測しています。

イーロン・マスクが目指す「スーパーアプリ」とは？

イーロン・マスク氏がXで実現しようとしているのは、単なるSNSではなく、「スーパーアプリ」です。

スーパーアプリとは？

スーパーアプリとは、1つのアプリで複数のサービスを利用できる万能アプリのことです。代表例は中国の「WeChat（ウィーチャット）」で、メッセージ、決済、タクシー配車、フードデリバリー、ネットショッピングなど、生活のあらゆることがWeChat1つで完結します。

Xがスーパーアプリになったら何ができる？

イーロン・マスク氏の構想では、Xで以下のことが可能になります：

• SNS：友達とつながり、情報を発信・共有
• 送金・決済：友達に送金、オンラインショッピング、投げ銭
• 投資：株式や暗号資産の売買
• ニュース・エンターテインメント：動画視聴、ライブ配信
• ビジネスツール：広告配信、マーケティング、顧客管理

これらがすべてX1つで完結すれば、ユーザーは他のアプリを開く必要がなくなります。

Web3×スーパーアプリの未来

XがWeb3技術を統合したスーパーアプリになれば、以下のような世界が実現します：

• SNSで稼いだお金を、即座にビットコインやドージコインに換えて保管
• NFTアートをX上で直接売買し、収益を得る
• 国境を越えた送金が数秒で完了し、手数料もほぼゼロ
• 中央集権的なプラットフォームに依存せず、ユーザー自身がデータと資産を管理

これがイーロン・マスク氏が描く「Xの未来像」です。

まとめ：XとWeb3の未来

X（旧Twitter）は、イーロン・マスク氏のリーダーシップのもと、Web3分野で急速に進化しています。

現在すでに実装されているWeb3機能：

• ビットコイン投げ銭（Lightning Network）
• NFTプロフィール画像
• 暗号資産の価格表示（$Cashtag）

2025年後半以降に実装予定の機能：

• X Money（Visa提携の決済サービス）
• 投資機能（株式・暗号資産の売買）
• 暗号資産決済（ドージコイン、XRPなど）

XがWeb3技術を活用した「スーパーアプリ」になれば、SNS、フィンテック、Web3が融合した全く新しいプラットフォームが誕生します。

従来の「いいね」や「リツイート」だけでなく、「投げ銭で感謝を伝える」「NFTで所有権を示す」「暗号資産で国際送金する」といった新しいコミュニケーションの形が、すぐそこまで来ています。

Web3の世界は難しそうに見えますが、Xがその入り口を初心者にも使いやすい形で提供してくれることで、誰でも気軽にWeb3を体験できる時代が始まろうとしています。

あなたも今から、XのWeb3機能に触れて、次世代のインターネットを体験してみませんか？