X Handle Marketplaceが2025年10月に正式ローンチ

2025年10月、X（旧Twitter）が新たなサービス「X Handle Marketplace（ハンドルマーケットプレイス）」を正式にローンチしました。これは、使われなくなった休眠アカウントのユーザー名（ハンドル）を、希望するユーザーや企業が購入できる公式マーケットプレイスです。

現在、handles.x.comにて、ベータ版として一般公開されており、順次アクセス権が拡大されています。

この記事では、X Handle Marketplaceの仕組みから具体的な利用方法、料金体系、そして日本のビジネスにおける活用事例まで、最新情報を網羅的に解説します。

X Handle Marketplaceとは？サービスの概要

X Handle Marketplaceは、Xが公式に提供する休眠ハンドル（ユーザー名）の取引プラットフォームです。

従来、希望するユーザー名が既に使用されている場合、そのアカウントが休眠状態であっても取得する方法はありませんでした。しかし、このマーケットプレイスの登場により、公式ルートで休眠ハンドルを入手できるようになりました。

【サービスの基本情報】

• 公式URL：https://handles.x.com
• 提供開始：2025年10月（ベータ版）
• 対象：休眠状態の未使用ハンドル
• 利用条件：Xプレミアム会員または認証組織（Verified Organizations）
• 料金：ハンドルによって異なる（詳細は後述）

なぜX Handle Marketplaceが必要なのか？

Xには世界中で数億のアカウントが存在しますが、その中には何年も使われていない休眠アカウントが大量に含まれています。

例えば、日本の企業が自社ブランド名と同じハンドル「@企業名」を取得したくても、既に誰かが10年前に取得して放置しているケースが多々あります。

【具体例：グリン株式会社の場合】

例えば、「グリン株式会社」が新たにX公式アカウントを開設する際、理想的なハンドルは「@grin」です。しかし、このハンドルが既に休眠アカウントに使用されている場合、従来は以下のような代替案しかありませんでした。

• @grin_official（公式を追加）
• @grin_corp（企業形態を追加）
• @grin_jp（日本を示す接尾辞）
• @grin2025（年号を追加）

これらの代替案は、ブランディング上望ましくないだけでなく、ユーザーにとっても覚えにくく、偽アカウントと混同されるリスクもあります。

特に、グリン株式会社のようにXTEP（Xの公式拡張ツール）やスレップ（ThreadsのAPI連携ツール）などのSNSマーケティングツールを提供する企業にとって、シンプルで覚えやすいハンドルは極めて重要です。

X Handle Marketplaceは、こうした問題を解決する公式サービスとして登場しました。

X Handle Marketplaceの仕組み

X Handle Marketplaceは、以下の仕組みで運営されています。

【1. 休眠アカウントの特定】

Xは、30日以上ログインされていないアカウントを休眠状態と判定します（日本のヘルプページでは6ヶ月と記載）。これらのアカウントは、一定期間経過後に削除され、ハンドルがマーケットプレイスに登録されます。

【2. マーケットプレイスでの閲覧・検索】

handles.x.comにアクセスすると、購入可能な休眠ハンドルを検索・閲覧できます。ハンドルは以下の機能で探せます。

• 検索機能：希望するキーワードで検索
• ウォッチリスト：気になるハンドルを保存
• ドロップ通知：新たに利用可能になったハンドルの通知
• ハンドルVault：プレミアムハンドルのコレクション

【3. リクエスト・購入プロセス】

希望するハンドルが見つかったら、以下の手順で購入を進めます。

1. リクエスト送信：ハンドルの購入リクエストをXに送信
2. 価格提示：Xの@Handle Teamから見積もりが提示される
3. 支払い：合意した場合、指定された方法で支払い
4. ハンドル移行：支払い確認後、ハンドルが移行される

注意：現在はベータ版のため、プレミアムビジネスユーザーのみが利用可能です。プレミアムプラスユーザーもまもなく利用できるようになる予定です。

X Handle Marketplaceの料金体系

X Handle Marketplaceの料金は、ハンドルの価値によって大きく異なります。

【価格帯の目安】

• 最低価格：10,000ドル（約150万円）〜
• 標準価格：50,000ドル（約750万円）
• プレミアム価格：500,000ドル（約7,500万円）以上

価格決定の要因：

• ハンドルの短さ（短いほど高価）
• 一般的な単語かどうか（「@apple」「@news」など）
• ブランド名としての価値
• SEO的価値（検索されやすさ）

【具体例：グリン株式会社のケース】

例えば、グリン株式会社が「@grin」を希望する場合、4文字の英単語であり一般的な単語でもあるため、標準〜やや高めの価格帯（50,000〜100,000ドル）になる可能性があります。

一方、「@grincorp」や「@grin_tools」のような複合語であれば、比較的安価（10,000〜30,000ドル程度）で入手できる可能性があります。

XTEPやスレップなどのSNSマーケティングツールを提供する企業にとって、シンプルなハンドルによるブランド認知度の向上効果は、長期的には投資額を上回る価値があると言えるでしょう。

X Handle Marketplaceの利用条件

X Handle Marketplaceを利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

【必須条件】

• Xアカウント：有効なXアカウントを保有
• プレミアムビジネス：Xプレミアムビジネスへの加入（現在利用可能）
• プレミアムプラス：まもなく利用可能になる予定
• 本人確認：身分証明書による本人確認（場合による）

【Xプレミアムビジネスとは】

Xプレミアムビジネスは、企業や組織向けの有料サブスクリプションサービスです。

料金：

• 月額：135,000円
• 年額：1,360,800円
• 関連アカウント追加：1アカウントあたり月額8,000円

主な機能：

• ゴールドの認証バッジ取得
• 関連アカウントの管理
• 組織としての認証
• X Handle Marketplaceへのアクセス（2025年10月〜）

【プレミアムプラスとは】

プレミアムプラスは、個人向けの最上位プランです。

料金：

• Webブラウザ版：月額1,960円
• iOSアプリ版：月額2,900円

プレミアムプラスユーザーも、まもなくX Handle Marketplaceが利用可能になる予定です。

X Handle Marketplaceの使い方（ステップバイステップ）

それでは、実際にX Handle Marketplaceを利用する手順を詳しく解説します。

【ステップ1：プレミアムビジネスに登録】

まず、Xプレミアムビジネスに加入する必要があります。

1. Xにログイン
2. プロフィールメニューから「設定とサポート」を選択
3. 「プレミアムビジネス」を選択
4. 組織情報を入力
5. 支払い情報を入力して登録完了

注意：プレミアムビジネスは企業・組織向けのため、登録には事業者情報が必要です。

【ステップ2：handles.x.comにアクセス】

Xプレミアムビジネス会員になったら、以下のURLにアクセスします。

https://handles.x.com

初回アクセス時は、Xアカウントでのログインが求められます。

【ステップ3：希望するハンドルを検索】

マーケットプレイスのトップページから、希望するハンドルを検索します。

検索のコツ（グリン株式会社の例）：

• 第一希望：「grin」で検索
• 代替候補：「grincorp」「grintools」で検索
• 関連ワード：「xtep」「スレップ」など自社製品名でも検索

【ステップ4：ハンドルの詳細を確認】

気になるハンドルが見つかったら、詳細ページで以下を確認します。

• 利用可能状態
• 価格帯の目安（表示される場合）
• ハンドルの履歴

【ステップ5：購入リクエストを送信】

ハンドルが利用可能であれば、「Request（リクエスト）」ボタンをクリックして購入リクエストを送信します。

リクエスト送信後、Xの@Handle Teamから以下の情報が届きます。

• 正式な価格
• 支払い方法
• 移行スケジュール

【ステップ6：支払いと移行】

価格に合意した場合、指定された方法で支払いを行います。支払い確認後、通常数日〜1週間程度でハンドルが移行されます。

日本企業にとってのメリット

X Handle Marketplaceは、特に日本企業にとって大きなメリットがあります。

【1. ブランド保護】

自社のブランド名と一致するハンドルを確保することで、なりすましアカウントの防止につながります。

グリン株式会社の事例：SNSマーケティングツールを提供する企業として、@grinというシンプルなハンドルを持つことで、XTEPやスレップなどの自社製品のプロモーション時に信頼性が大きく向上します。

【2. マーケティング効果の向上】

覚えやすいハンドルは、SNSマーケティングの効果を大きく高めます。

比較例：

• ❌ @grin_official_corp_japan
• ✅ @grin

特にSNSツールを提供する企業にとって、シンプルなハンドルは製品の信頼性を高める重要な要素です。

【3. SEO効果】

シンプルなハンドルは、Google検索でも有利に働きます。「グリン Twitter」「XTEP 公式」で検索した際、@grinは上位表示されやすくなります。

【4. 自社ツールとの相乗効果】

グリン株式会社の場合、XTEPでX DMの自動化・効率化を提供していますが、公式アカウント自体が@grinというシンプルなハンドルであれば、ツールの信頼性と製品価値が同時に向上します。

X Handle Marketplace利用時の注意点

X Handle Marketplaceを利用する際は、以下の点に注意しましょう。

【1. 高額な初期投資】

人気のハンドルは数百万円〜数千万円の費用がかかります。ROI（投資対効果）を慎重に検討する必要があります。

グリン株式会社のケース：SNSマーケティングツールを提供する企業として、シンプルなハンドルによるブランド認知度向上とツールの信頼性向上を考慮すると、長期的には十分な投資価値があると言えます。

【2. 購入後の変更不可】

一度購入したハンドルは、原則として他のハンドルに変更できません（通常のユーザー名変更は可能）。

【3. すべてのハンドルが購入可能ではない】

著名人や大企業が使用していたハンドルは、たとえ休眠状態でも販売対象外となる場合があります。

【4. 偽サイトに注意】

公式サイトはhandles.x.comのみです。類似サイトや仲介業者を名乗る詐欺に注意してください。

X Handle Marketplaceの今後の展望

X Handle Marketplaceは、2025年10月時点でベータ版として提供されていますが、今後さらなる機能拡張が予定されています。

【予想される機能追加】

• オークション機能：人気ハンドルを入札形式で購入
• サブスクリプション型レンタル：期間限定でハンドルを借りる
• 二次流通市場：ユーザー間でハンドルを売買
• AIによる価格推定：機械学習でハンドルの適正価格を算出

また、イーロン・マスク氏が掲げる「Xを万能アプリに」というビジョンの一環として、Handle Marketplaceは決済機能やマーケットプレイス機能の試金石とも位置付けられています。

まとめ：X Handle Marketplaceは企業ブランディングの新たな選択肢

X Handle Marketplaceは、長年の課題だった「休眠ハンドル問題」を解決する画期的なサービスです。

特に以下のような企業・個人におすすめです：

• 自社ブランド名と一致するハンドルを確保したい企業
• SNSマーケティングツールを提供する企業（グリン株式会社のような事業者）
• グローバル展開を視野に入れている日本企業
• SNSマーケティングに力を入れているスタートアップ
• インフルエンサーやクリエイター

料金は決して安くありませんが、長期的なブランド価値向上とマーケティング効果を考えれば、十分に投資価値があると言えるでしょう。

特に、XTEPやスレップのようなSNSツールを提供する企業にとって、シンプルで覚えやすいハンドルは製品の信頼性を高める重要な資産となります。

2025年10月に正式ローンチされたばかりのサービスですが、今後ますます利用者が増えることが予想されます。希望するハンドルがある場合は、早めに確認・リクエストすることをおすすめします。

公式サイト：https://handles.x.com